物語というものは、最初から完成した形で降りてくるわけではありません。
むしろ、断片的なアイデア、何気ない感情、ふとした違和感から生まれることが多い。
今回紹介する三つの作品――
- 小さいおじさんシリーズ
- 死神シリーズ
- 『記憶の端で、俺は何度も死ぬ』
これらはすべて、違う発想から生まれたにも関わらず、
結果的にひとつの共通したテーマへと収束していきました。
そのテーマとは、
「境界線にいる存在はなぜこんなにも魅力的なのか?」
です。
生者と死者、現実と空想、記憶と忘却、恐怖と日常――
その境目にいる存在は、説明できないからこそ強烈に残ります。
この記事では、それぞれの作品がどのように作られたのか、
その背後にあるコンセプトや構築方法、制作時の思考をまとめています。
物語の裏側に興味がある方、創作をしてみたい方へ。
ぜひゆっくり読んでください。
🧩 1️⃣ 作品「小さいおじさんシリーズ」
◆コンセプト
「ホラーと生活感の境界線」
怖いのにどこか愛着が湧く。
都市伝説と日常コメディの中間にある存在――それが「小さいおじさん」です。
◆テーマ
- 人間は説明できないものに惹かれる
- 存在理由がわからないものほど忘れられない
◆制作手法
| 要素 | 制作意図 |
|---|---|
| 主人公 | どこにでもいる一般人 → 読者が同化しやすい |
| 小さいおじさん | 恐怖ではなく“謎”として存在する |
| 展開 | 日常 → 違和感 → 既視感 → 依存 → 空気化 |
✍️ 制作用キーワード
「視界の端」「声はするのに返事をしない」「いるのが当たり前化する恐怖」
◆物語構築テンプレ
- 違和感(気配)
- 観測(視界の隅)
- 接触(会話/行動)
- 影響(生活に干渉)
- 共存(存在が定着する)
☠️ 2️⃣ 作品「死神シリーズ」
◆コンセプト
「死は敵ではなく、観察者である。」
ホラーとギャグの間を行き来するブラックユーモア作品。
死神は「怖い存在」ではなく、人間を不思議そうに観察する存在です。
◆テーマ
- 人間の弱さ・しぶとさはどこか美しい
- 死神は奪うためではなく見届けるためにいる
◆制作手法
| ポイント | 設計思想 |
|---|---|
| 死神 | 人間的な感情はあるが倫理観は違う |
| 主人公 | 不運だが絶対に死なない側 |
| 世界観 | 皮肉・ズレ・黒い笑い |
✍️ 制作用キーワード
「死神は諦めない。でも人間は図太い。」
◆物語テンプレ
- 主人公が死にそうになる
- 死神が興味を持つ
- 死神の期待を裏切り生還
- 死神が呆れながら執着
- 理不尽・救済・奇跡で終わる
🔥 3️⃣ 『記憶の端で、俺は何度も死ぬ』
―長編サイコSFノワール作品―
この作品は、上の二つとは違い、完全シリアス路線で生まれました。
テーマは、
「自分が何者なのかを忘れていく恐怖と、思い出そうとする本能」
構造はループ型。
主人公の視点は現実と記憶の境界で揺れ続けます。
📖 本文引用:
🎬 最後に
三つの作品はジャンルも世界観も違います。
しかし、
- 見えるようで見えないもの
- 説明できない違和感
- 境界線にいる存在
という共通点があり、
結果的に同じ根へと繋がる作品になりました。
作品は読まれるたび、解釈されるたび、ひとり歩きします。
もしこのシリーズが誰かの頭の片隅に残り、
ふと眠る前に思い出されるような存在になれたなら――
それは何よりの成功です。

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